「看護師になりたい!」という意思が固まったら、次にすべきことは何でしょう?看護系の大学や専門学校など、学校選びに目を向けることも大切ですが、まず知っておかなければいけないのは看護師国家試験について。学校卒業後、晴れて看護師になるためには、厚生労働省医政局が統括する「国家資格」を取得する必要があります。では、そのためにはいったいどんな勉強を、どれくらいすると合格に近づけるのでしょうか。
看護師国家試験とは
看護師国家試験とは、保健師助産師看護師法第18条に基づいて行われる、日本の看護師免許(国家資格)を取得するための国家試験です。概要は以下の通りとなります。
・試験日:例年2月中旬~下旬の日曜日
・合格発表日:例年3月下旬
・試験地:北海道、青森県、宮城県、東京都、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県及び沖縄県
・試験科目について(全11科目):人体の構造と機能、疾病の成り立ちと回復の促進、健康支援と社会保障制度、基礎看護学、成人看護学、老年看護学、小児看護学、母性看護学、精神看護学、在宅看護論及び看護の統合と実践
・受験資格:大学や3年制の短大、看護の専門学校において看護師になるのに必要な学科を修めてなどを卒業した者(または、卒業する見込みの者)
国家試験の合格率はどれくらい?試験にかかる時間は?
看護師国家試験で見きわめられるのは、看護師として必要最低限の知識を備えているかどうか。いわゆる「落とすための試験」ではありません。例年、合格率は例年90%前後と高めで、2018年度の合格率は91.0%でした。ただし、その内訳を見て見ると、既存学生の合格率が96.3%なのに対して既卒者の合格率は44.5%となっています。油断して試験に落ちてしまうと、リカバリーが難しいことは肝に銘じておかなければなりません。
ただし、合格率が高いからといって楽な試験というわけではありません。試験時間は午前・午後ともに2時間40分ずつ、トータルで5時間を超える長丁場となります。それだけでなく、制限時間内に240問の問題を解かなくてはならないため、単純計算で1問に費やせる時間はわずか1分半。集中力を切らさず、本番で実力が出せるように入念な準備を進める必要があります。
合格するために、どんな勉強をすればいいの?
看護師国家試験では、以下の3種類の問題が合計240問出題されます。
① 必修問題:基礎知識を問うもので、合格には80%以降の正答率が必須です。
② 一般問題:出題基準に定められた11科目について、知識を問うものや短文の事例問題も出題されます。
③ 状況設定問題:出題基準に定められた7科目について、看護の現場で直面する状況を設定し、課題解決力や判断力を問われます。
さきほどの試験概要でもご紹介した通り、科目数だけでも11あり、出題範囲が広いのが特徴です。医師をサポートするために必要な生物学的な知識から、物理学、心理学、社会福祉に関する法律までが登場しますが、これはいずれも看護師の仕事に欠かせないもの。ただし、やみくもに丸暗記方式で勉強を進めるのは非効率。3ステップで、合格を目指しましょう。
STEP1 基礎をしっかり!
本質的な理解を深めるためにも、まずは基本の科目である「人体の構造と機能」に重点を置いて学習を進めましょう。そうすることで、他の教科の理解も深まります。
オススメの勉強法は、過去5年分ぐらいの過去問を繰り返して解くこと。これは、問題に目を慣れさせることもでき、自分の強化すべきポイントや出題の傾向を把握するのにも役立ちます。実習が始まると、なかなか勉強に時間を取れないことも考えられるため、なるべく早いうちからスタートしましょう。
STEP2 実習経験を通して理解を深める!
実習が始まると、勉強どころではない!と感じるかもしれませんが、実習は学習理解を深める大きなチャンス! 知識として学んだことを実践でどう活かすか、もっとよりよいケアをするにはどうすればよかったか。実習で学んだ内容を、過去問に照らし合わせて復習につなげるのもオススメです。患者さんとのコミュニケーションや、指導されたことを通して実践的な知識を身につけていきましょう。
STEP3 本番に向けて、体調を整える!
看護師国家試験が行われるのは、2月。1年で最も寒い時期であると同時に、風邪やインフルエンザの流行するタイミングでもあります。インフルエンザの予防接種を受けるのはもちろんのこと、毎日こまめに手洗い・うがいを行うなどの対策を取りましょう。この時期まで来たら、あとは本番で実力を出し切れるように体調管理に気を配り、しっかりと睡眠を取るようにしてください。
対策を知り、効率的に学習して試験にのぞもう!
実習が始まると、看護学生さんは忙しくて試験対策もままならない状況になるのが現実です。そんなときこそ、学校のサポートがカギとなります。担当の先生に相談したり、国家試験対策講義や模擬試験などを積極的に受けたりして、仲間と共に合格を目指しましょう。国試対策の方法を正しく知り、効率的に実力をつけていきましょう。学生時代に頑張って学んだ知識は、看護師として現場に立つときに必ず役立ちます。夢に向かって、ぜひがんばって挑戦してくださいね!