2018年も数ヶ月経ち、看護師としてスキルアップしたいと考えている方も多いはず。そこで今回は、2017に誕生した『災害看護専門看護師』について解説していきます。どのような資格か、その魅力や活動、適性などについてお話ししていきましょう。
■『災害看護専門看護師』とは
専門看護師とは「日本看護協会専門看護師認定審査に合格し、ある特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有することを認められた者」をいいます。この専門看護師として、災害看護に特化したのが「災害看護専門看護師」。2017年12月に認定が開始されました。
・どうすれば取得できる？
まずは、以下3つの条件をクリアし、これらをクリアしたうえで、専門看護師認定審査に合格すると取得できます。5年ごとの更新も必要です。
1.看護師の免許を取得している。
2.看護系の大学院修士課程修了者であり、必要な単位を取得している。
3.通算5年以上の実務研修経験がある。（専門看護分野の実務研修が3年間以上を占めること）
■予期せぬ災害で活躍できる、やりがい
災害という特殊で、精神的身体的ダメージの大きい環境の中、人々を困難から救い、不安や苦痛から解放する手助けができることに、強いやりがいを感じる方が多いようです。
特に近年の日本では、多くの予期せぬ災害が発生しており、災害時の経験などを活かして発生前から対策を講じる取り組みも行われています。未来の被災を最小限にする役割も担った災害看護は、いまもっとも必要とされている分野のひとつといえるでしょう。
■想定される活動について
災害看護の活用期間は、災害発生時、発生後に関わらず長期に及びます。教育や研究の現場でも必要とされているため、災害が発生する前の状況においても活躍が期待できるでしょう。
・どんなシーン（どこ）で活用されるの？
主な活動場所は、災害現場の病院や避難所、被災者の自宅などになります。
それ以外にも災害基幹病院や災害拠点病院での活動のほか、状況によっては、行政との関りが必要になる場合もあります。
被災地では、「災害看護専門看護師」ならではの視点で被災者の問題点を捉え、身体面、精神面双方からのアプローチを行っていきます。
そして、倫理的問題の解決や環境調整、被災地での多職種に対する心理的サポートや連携・調整などを行う役割も求められることでしょう。
このほか、避難訓練の実施、マニュアルの整備など減災に向けての取り組みや検討、教育なども活動のひとつ。一般的な救護活動に加え、さらに一歩踏み込んだ専門的な役割が要求されると言えそうです。
■こういう人が向いている
・高度な知識と判断力がある
特殊な状況下であり「設備が不十分」「そばに医者がいない」「自分自身で判断せねばならない」などの場面も少なくありません。高度な知識と判断力が常に求められます。
・リーダーシップ、コミュニケーション能力がある
現場では指導者としての立場を求められることも多く、さまざまな職種との関りが要求されるためリーダーシップやコミュニケーション能力が求められます。
・自身のメンタルケアも行える強固な精神力がある
目をそむけたくなるような状況に接することも考えられます。強固な精神力と自身のメンタルケアを行える能力も求められることでしょう。
・健康な体と自己管理能力
被災地で体調を崩すようでは、かえって足手まといになってしまいます。劣悪な環境にも屈しない健康な身体や体力、自己管理能力をつけていきましょう。
・被災者に寄り添える心と同時に感情的にならない心も必要。
被災者の気持ちに寄り添うことは大切ですが、感情に流されてしまうようでは、求められる役割を果たすことができません。良い意味での冷静さ、自分自身を客観視できる能力も必要です。
・高い志がある
災害看護専門看護師として、より高いスキルUPを目指す向上心を持っていることも欠かせない要素と言えそうです。過酷な仕事に立ち向かうためにも、日頃から意識を持って働くことが大切となるでしょう。
■災害多発国・日本に必要な存在
多くの役割や強い精神力が求められる「災害看護専門看護師」ですが、それだけに、看護師として高いやりがいを得られる分野です。いま、日本という災害多発国においては、特に注目されている資格ですので、興味とやる気のある方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか？
