病院での問診や健康診断等で、「病歴」について聞かれたことはあると思いますが、これまでの人生で「どのようなものを、どのくらいの頻度で、どれだけ食べてきたのか」なんてことは、あまり聞かれる機会がありませんよね。最近では、各個人の食についてのデータを「食歴」と言い、いままでなにをどう食べてきたかで、これからの生活の質が決まるという説が囁かれているそうです。みなさんも、子どもたちや旦那さんのために「予防食育」について学んでみてはいかがでしょうか?
■予防食育とは
予防医学の食育のことを、「予防食育」といいます。「食べる力」「生きる力」を育むために、健康的な食のあり方を考え、だれかと一緒に食事をしたり、野菜の収穫体験をしたり、旬の物や郷土料理を味わったりすることです。バランスのとれた食生活を実践していくことで、文化・社会経済・環境なども循環していくと考えられています。
みなさんも看護師として、「食」で子どもの笑顔と母親の自信を支えてみませんか? 食に関する正しい知識と、望ましい食習慣を身に付ければ、子ども達の健やかな成長を助けることもできます。看護師の立場として食への正しい知識を身につけ伝えることで、近い将来、生活習慣病の疾患も減ってくるのではないでしょうか?
■予防食育で防げる生活習慣病
・糖尿病
近年、日本人は糖尿病になりやすいといわれていますが、その背景にあるのが、食の欧米化。つまり、野菜中心の和食に置き換えるだけで、本来の日本人に合った食事を心がけることができ、糖尿病予防を行うことに繋がるのです。
例えば、生野菜を使った一品でも良いですが、日本ではよく食べられている葉物野菜のほうれん草などを茹でたりしたり、スープにするとカサが減り、沢山摂取することができますよ。血糖値を急にあげないためにも、食事の最初に、まず野菜から食べるのが良いでしょう。
・肥満
現代の日本人は、脂質を摂取しすぎています。これも食の欧米化の影響により、リーズナブルですぐに食べることができるファーストフードなどから、摂取する脂質が増えてしまった証拠。パンからご飯に変えたり、脂質の少ない豆腐や納豆などの大豆製品を取り入れるようにしたり、肉類よりも魚類を意識して下さい。野菜や魚、豆類などを中心としたヘルシーな和食を心がけていきましょう。
・虫歯
虫歯菌一番の好物「砂糖」。この、砂糖を摂りすぎていると、虫歯の原因である「酸」をたくさん作ってしまいます。また、だらだら食いも酸を増やす原因となるので、お子さんに砂糖の入っているお菓子やジュースを与えるときは、食べる量や時間、場所などを決めて食べさせてあげてくださいね。お菓子を食べる時間は食事の間の、10時、15時が良いとされています。
■予防医学の食育で大切なこと3つ
1.規則正しくとる
1日の始まりの重要な栄養は、朝しっかりとることで補うことができます。現代人は、朝食を摂らないという人がとても多く、その結果が、生活習慣病に大きく影響しているという一説も……。
朝食を抜くことで、あとでまとめ食いをしてしまうと、血糖値が急に上がるため、糖尿病の原因を招きかねません。バナナやヨーグルト、グラノーラなどの手軽な朝食をとるだけでも朝食を抜くよりは良いでしょう。しっかり朝食をとり1日3回の食事をして、心身ともに健康な体作りを目指しましょう。
2.栄養バランス意識する
野菜を多く摂ることによって、炭水化物中心の食生活から、食物繊維やビタミンミネラルが豊富な食事へと変えることができます。いろいろな色の野菜を食べることを心がけ、栄養が偏らないよう注意しておきましょう。
3.楽しく食べる
食事をするうえで「楽しく食べる」ことは、心身の健康のためには必要不可欠な要素です。食事は、栄養の問題だけではなく、脳や精神面の発達に大きく関わっています。楽しく食べることで、生きる楽しさ、向上心、マナーなども学んでいけるといいですね。
家事をこなしている看護師のみなさんは特に、いままでの食生活を振り返る、いい機会になったのではないでしょうか? 手の込んだ食事でなくても、野菜中心の和食を心がけるだけで、生活習慣病予防に繋がり、予防食育を行うことができますので、みなさんの今日からの食事作りに役立ててみてはいかがでしょう?
この記事の監修者:野田あかね
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