給与についても比較的高い金額が望め、仕事としても安定している看護師。しかし、自分の手取り収入が他の職種の人と比べてどのくらいの水準にあるのか、しっかりと把握できている人は少ないのではないでしょうか。看護師の給与は高いといわれていますが、実際のところどうなのでしょうか。検証してみましょう。
☆看護師の平均年収の比較
厚生労働省の賃金基本統計調査を見ると、看護師の平均年収は他の業種と比べるとかなり高い数値で推移していることがわかります。リーマンショックを境にして、他の労働者の平均年収が大きく下落しているのに比べ、看護師の平均年収は社会的な景気の影響をほとんど受けず、ずっと高い水準で推移していることからも、看護師の給与が高いだけでなく安定しているともいえます。しかも、看護師の職場はとりわけ女性の多い環境です。一般的な女性労働者の平均年収と比べたときには、看護師の給与はかなり高い傾向にあることがわかります。
つまり、平均年収という側面で見れば、他の労働者と比較して看護師はとても恵まれた職業だということができるでしょう。看護師全体の平均年収はおよそ480万円と高額であり、女性の職種別の平均年収のランキングでも11位にランクインしています。ただ、他の労働者の平均年収が年齢とともに大幅な上昇曲線を描いているのに比べると、看護師の昇給曲線はそれほど極端に上昇しているわけではなく、昇給幅はやや小さめといった傾向があります。
☆看護師の手取り収入はどのくらい?
では、看護師の平均年収は他の業種に比べて高めであることが分かりましたが、収入の内訳はどのようになっているのでしょうか。看護師の給与は昇給率がやや低めであるものの、もちろん年齢を重ねるごとに徐々に手取り収入も増えていきます。
看護師の月額平均給与はおよそ32万円、そこから控除額が引かれると、手取り収入は約28万円ということになります。ただ、この手取り収入の内訳は、さまざまな手当を含めた数値です。夜勤手当や皆勤手当、また残業代などが諸手当の内訳です。平均年収という面では高めである看護師の収入ですが、夜勤などの仕事内容という面で手取り収入を見た時に、納得がいかないと感じる看護師の方も少なくないかもしれません。
たくさん働けばたくさん稼げるというのは、いわば当たり前の労働観念です。しかし、看護師の場合は労働時間だけでなく、その労働の内容によっても収入の金額に差がつくのです。手取り収入の内訳を見ると、夜勤手当は3万円から4万円ほどということになり、夜勤手当が収入に占める割合はなかなか大きなものになります。つまり逆にいえば、夜勤をしない看護師の場合、手取り収入が大きく減るということでもあります。こうした事情から、看護師の手取り収入は、勤務体系によって異なるということになります。
☆収入を取るかゆとりを選ぶか
看護師は確かに高い給与を得ることができる職業です。しかし、収入をさらに高くしたい場合には、夜勤などの不規則な働き方をする必要のある仕事でもあります。また、正職員として働いている看護師は、もちろん安定して高い収入を得ることができる一方、責任のあるポジションを任されるなど、仕事に対する責任の度合いも大きなものとなります。
ただ、より時間的にゆとりのある働き方を選びたい場合には、やはり正職員ではない、別の働き方を選択した方が良いかもしれません。派遣看護師としての働き方は、確かに正職員に比べて安定していないかもしれませんし、収入面でも正職員ほど高い給与を望むことはできないでしょう。それでもプライベートを充実させた働き方ができるのが派遣看護師の良いところです。プライベートが充実すれば、おのずと心にもゆとりが生まれ、仕事にもより一層前向きに取り組めます。
収入を取るかゆとりを選ぶかという議論になってしまいますが、それでも自分の将来的なワークライフバランスということを考える上でも、一度は検討してみて良い問題なのではないでしょうか。