「1/fゆらぎ」という言葉を聞いたことがありますか? もしかすると、1/fゆらぎの機能が付いた扇風機を使っている人がいるかもしれません。この扇風機は、規則的な風だけでなく、時折不規則な風を加えて、自然の風を再現した扇風機です。1/fゆらぎは身近なところに存在します。お疲れ看護師のみなさんも、ぜひ生活に取り入れて、ストレスを解消してみませんか?
■1/fゆらぎとは?
物理学を研究している武者利光さんが提唱した「1/fゆらぎ」は、規則性と不規則性が心地よく調和している状態のことです。まだメカニズムはあまり解明されていませんが、自然界に多く存在するものだと言われています。たとえば、患者さんの脈を取るとき、不整脈でなくても、必ずしも均等なリズムではありませんよね。風だって同じこと。突然ふわーっと吹いてきます。この他、波の音や鳥の声など、1/fゆらぎにあたるものは、たくさんあります。人間が作り出す音楽や詩歌などにも1/fゆらぎは存在し、建物などの空間デザインにも取り入れられているそう。そして、この規則的なものの中の不規則な部分が、リラックスを誘うといわれているのです。
■電車に乗っていると眠くなるワケ
通勤で電車を利用している方もいらっしゃると思いますが、疲れているとき、電車のガタンゴトンという揺れに身を任せてウトウト……。「うっかり乗り過ごしそうになってしまった!」なんて経験ありませんか? なぜ、あんなに電車の居眠りは気持ちよいのでしょうか。
それは、疲れのせいだけではありません。一見、規則正しく走っている電車も、レールの繋ぎ目や段差、カーブなどの不規則さが、1/fゆらぎを発生させているのです。「電車だけでなく、バス通勤も眠くなるよ?」という方、バスの揺れも同じ理屈です。また、高速道路では、スムーズな車の流れの中に、1/fゆらぎが顕著にみられます。ここちよい1/fゆらぎですが、運転する方は、リラックスのしすぎに気を付けたほうがいいかもしれません。
■自然の中にあふれている1/fゆらぎ
一見規則正しく軌道を動いているように見える太陽や星も、少しずつゆらぎながら動いています。夜空に瞬く星、そよ風、小川のせせらぎ、寄せては返す波の音、森にこだまする野鳥の声、木漏れ日…自然に触れると癒されるのは、1/fゆらぎの宝庫だから。自然に触れることが少ない都会暮らしの方も、自然をテーマにしたDVD、YouTubeの動画を鑑賞したりするだけで、リラックスできるので、ぜひ生活に取り入れてみてください。キャンドルをともして、ゆらめく炎を眺めるのもおすすめですよ。
■1/fゆらぎのある音楽を聴いて癒される
ヒーリングミュージックやクラシックは1/fゆらぎの代表格! 高尚な音楽ばかりではなく、広く親しまれているポップスや演歌などの歌謡曲にも、1/fゆらぎは存在します。例えば、宇多田ヒカルさんや美空ひばりさん、一青窈さん、平井堅さん、福山雅治さんなど。人気のある歌手は、1/fゆらぎを発生させているから、ヒットしているのかもしれません。また、音楽療法を取り入れている病院も多いですよね。それほど、音楽と癒しは密接な関係にあるのです。
これほどまでに、日常にあふれている1/fゆらぎ。ちょっと意識して付き合ってみると、「あっ。今、自分は癒されているのだな」と何気ない毎日の事を、“癒し”ととらえられるかもしれません。あなたもほんの少し、1/fゆらぎを意識してみてはいかがでしょうか?