1992年にスタートした訪問看護は、今や在宅医療における中心的な存在です。また、高齢者率が30%を超える2025年に向けて政府が取り組んでいる「2025問題」においても、訪問看護師に大きな期待が寄せられています。
しかしながら、その数は一般的な病院勤務の看護師に比べるとまだまだ少数派で、国内の看護師全体の140万人に対して、わずか2%ほどにしか達していません。
訪問看護は、身体のケアだけでなく、利用者とその家族全体のメンタルケアも大切な職務。すべてのケアをひとりで担当するだけに大きな責任を伴いますが、その反面、多くのやりがいに満ちたお仕事です。そんな訪問看護師のお仕事について、ふだんの様子や魅力、やりがいなどについてご紹介します。
訪問看護師が利用者から求められているのはどんなこと?
訪問看護の大きな特徴は、利用者の自宅で看護を行うということ。十人十色の住環境に対応し、利用者が望む生活をサポートするという点は、医療機関で働くのとは大きく異なる部分でしょう。では、現場で訪問看護師はどのようなことを求められているのか。利用者たちのニーズをヒントに、理想の訪問看護師像を探ってみましょう。
●利用者が訪問看護師に求めることBEST5
1位:24時間対応してほしい
2位:相談に乗ってほしい
3位:必要に応じて医師に連絡してほしい
4位:予防のための指導や助言がほしい
5位:いつも決まった看護師が対応してくれる
(出典:平成26年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査「機能強化型訪問看護ステーションの実態と訪問看護の実施状況調査」)
いずれにも共通するのは、「安心して療養生活を送るために、親身になってサポートしてほしい」という利用者の思い。訪問看護師には、すべてのケアをひとりで担当できるだけの技術力や判断力、きめ細かなコミュニケーションが求められています。
訪問看護師としてのやりがいを感じるのはどんなとき?
では、訪問看護だからこそ得られる「仕事のやりがい」とは、いったいどのような部分にあるのでしょうか。ここでいくつかご紹介しましょう。
<充実感>
病棟勤務よりも利用者さん一人ひとりにしっかり寄り添った看護ができるので、充実感が得られます。また、長期間同じ利用者さんのところに通うため、深い絆を育むこともできるでしょう。利用者さんご本人やご家族から直接感謝の言葉をかけられることも多く、高いモチベーションを維持できます。担当している利用者さんの状態が良くなっていくのを身近に感じられるのは、何よりの喜びではないでしょうか。
<ワークライフバランス>
基本的に残業や夜勤がないのでプライベートとの両立もしやすく、メリハリをつけて働けます。業務中にナースコールで呼び出されることがないので、看護に集中できるという方も。
<看護スキルの向上>
急性期から終末期まで、年齢や疾病を問わず幅広い症状の患者さんと携わることができ、看護スキルがアップします。責任やプレッシャーは重いですが、トラブルをひとりで解決する力が身につくでしょう。
訪問看護師の1日のお仕事はこんなふうに進みます
では、訪問看護ステーションで働く訪問看護師の1日を追いながら、具体的にお仕事の流れをイメージしてみましょう。
<ある訪問看護師の1日>
・9時 出勤
訪問看護ステーションに出勤したら、まずはスタッフミーティングからスタート。
その後、訪問の準備を進めます。なお、1件あたりの訪問時間は約1時間で、午前と午後に分けて5件前後の利用者宅を訪問するイメージです。
・9時30分~17時ごろ
利用者の自宅を訪問して看護を行います。
だいたい12時~13時頃に休憩を取りますが、訪問のタイミングによっては多少ズレることもあります。
・17時30分
訪問についての報告業務と、翌日訪問の準備を行います。
訪問時に利用者の体調の変化に気づいたときは、必ず主治医やケアマネージャーに報告します。
業務を終了し、帰宅します。
※オンコールについて
訪問看護では、利用者さんの急変に備え、夜間や休日などの勤務時間外に“オンコール”で呼び出される可能性があります。一般的に常勤のオンコール対応は必須ですが、「オンコールなし」の募集もあります。
訪問看護師のメリット・デメリットとは
訪問看護師のお仕事をもっと深く知るために、メリット・デメリットも把握しておきましょう。
■メリット
① ワークライフバランスが取りやすい
基本的に、訪問看護には夜勤や残業がありません。それだけでなく、午前中だけ、週に3日だけなど時短勤務が可能な求人もあります。病棟勤務の夜勤が辛くなってきたので、日勤のみの訪問看護に切り替えたという方や、子育て中のママ看護師さんにも働きやすい職種です。
また、夜勤がないにも関わらず、高収入が得られるのは大きなポイント。体の負担は軽減したいけれど、しっかり収入も確保したいという方にもオススメです。
② 新人や経験の浅い看護師も短期間で成長できる
従来、訪問看護は一定のキャリアを積んでいないと実務につくことがむずかしく、病院などで経験を磨いた方が訪問看護へキャリアチェンジするのが王道パターンでした。
ただし、最近では教育プログラムや同行訪問が充実したステーションも増えつつあり、訪問看護師としてキャリアを積みたい新卒や若手看護師にもチャンスが広がっています。
③ 自分らしいキャリアアップが可能
訪問看護の仕事では、的確な判断力や観察力、アセスメント力が鍛えられます。これらのスキルを活かして、認定看護師の資格を取ったり、管理者となって訪問看護ステーションを運営したりと、さまざまなキャリアプランが描けます。
■デメリット
基本的に、訪問先ではひとりで仕事を行います。その場で先輩や同僚に相談することができないので、全て自分で判断しなければいけない大変さはあるでしょう。また、訪問看護はまだまだ発展途上の事業であるため、教育制度やフォロー体制が整っていないことも。
ぜひ、事前にしっかり下調べを行い、自分に合った拠点を選びましょう。
多様なやりがいにあふれた訪問看護のお仕事
訪問看護師の仕事内容は、どのお宅にうかがうかによっても仕事内容が違いますので、感じるやりがいも人それぞれ。一人の患者さんとしっかり向き合えることに、やりがいを見出す方も多いようです。これからニーズがどんどん高まる在宅医療の現場で、今とは違ったやりがいを見つけてみませんか?
パソナメディカルでは、ご自身のキャリアや希望に応じた多くの訪問看護師のお仕事をご紹介可能です。ぜひ一度、ご相談ください。