「衛生管理者」という資格をご存知ですか? 保健師の資格をお持ちであれば、各都道府県へ申請をするだけで、衛生管理者の資格が取得できます。今回は、この資格にまつわる仕事内容や、働き方などについてご紹介していきましょう。
■衛生管理者とは? 保健師でもなれるの?
衛生管理者とは、国家資格のひとつ。労働安全衛生法によって、常に50人以上の従業員を有する事業所では、1人以上の衛生管理者を配置するよう定められています。
主な仕事内容は、従業員が健康に働けるように、職場環境の衛生面を整えること。第一種、第二種と種類があり、第一種は全業種において、第二種は有害業務に関係のない業種(情報通信業や金融・保険業など)の衛生管理に限られています。
衛生管理者になるためには、通常、試験を受けて合格する必要がありますが、保健師や薬剤師といった資格をお持ちであれば、申請するだけで衛生管理者の免許を受けることができます。
■衛生管理者の仕事内容や働き方は?
衛生管理者の役割は、事業所で働く社員の健康を確保し、快適で衛生的な職場環境を整えること。
具体的な仕事としては、社員の健康診断の計画・実施や、その結果の管理、ストレスチェックの補佐業務。安全衛生委員会などの設置や運営、衛生教育の実施や、労働作業場の巡視などがあげられます。そして、社員の健診結果に問題があれば、適切な処置や対応を講じます。
職場環境を整えるといった場面では、照明や温度の調整や化学物質の防止を図り、さらに職場環境の改善が必要であれば、その計画を立案、実行の責任者になるなど、実に重要な職務を担うことになります。
ある資料(※1)によると、衛生管理者として専任で働いているのは5.3%。兼務ではあるものの主に衛生管理者として働いているのが20.6%。ほとんどの方が、衛生管理者を兼務していることが伺えます。
※1 独立行政法人労働者健康安全機構埼玉産業保健総合支援センター
https://www.saitamas.johas.go.jp/information/information01-f.html
■保健師が衛生管理者として働くメリットは?
保健師が衛生管理者として働くメリットのひとつに、病院以外の場所で、保健師として医療・看護の知識や経験が活かせることがあげられます。
また、働く従業員の健康を守るという大きな責任を担い、さらに職場環境を守る管理者としての能力を磨いていくことができるのも魅力のひとつ。
保健師資格に加えて衛生管理者の資格があれば、今後の社会的ニーズに応えることができ、転職や昇給、昇進や資格手当も期待できます。産業保健に保健師として関わっていくなかでも、衛生管理者としての知識や経験が、自身のキャリア形成に役立つのではないでしょうか。
■おわりに
一定数以上の従業員が働く会社は、必ず衛生管理者を設置しなければならないため、この資格は、社会的ニーズも高い資格です。
保健師としても、衛生管理者の知識や経験が加われば、会社や事業所の職員の健康や、職場環境の改善をより専門的な立場から図ることができます。 産業保健に携わる方であれば、キャリア形成の一環として検討されてみてはいかがでしょう。