今回のテーマは、看護師になればおそらく多くの方が経験する「夜勤」について。昼夜逆転になるのが辛い、勤務時間が長くてハード…など、夜勤にまつわる現場の大変さを耳にすることもありますよね。初めて看護師として働く方は、夜勤のイメージを描きづらく、少し不安に感じてしまうかもしれません。
ただし、看護職は「24時間365日患者の生命と安全を守る」という、責任を伴うやりがいのある職業。夜勤は、その中で必要不可欠な業務ともいえます。今回は、夜勤の種類や仕事内容などの基礎知識をまとめました。ぜひ、今後の参考にしてくださいね。
入院病棟や救命センターのある病院では夜勤がつきもの
初めにお伝えしておきたいのは、すべての医療施設に夜勤があるわけではないということ。夜間の診察を行わないクリニックや外来では夜勤がなく、入院病棟や救命センターのある病院では必須となります。
月ごとのシフトを組み、夜勤を含めて2交代や3交代などで勤務するのが一般的ですが、2交代と3交代の混合や、短夜勤など独自の制度を取り入れている医療機関もあります。
夜勤には2つのパターンがある!
夜勤には、2交代制、3交代制という2つのパターンがあります。勤務時間の違いを比較してみましょう。
・2交替制
日勤(およそ8時半~17時頃)と夜勤(およそ16時半頃~翌朝9時頃)に分かれ、夜勤は最長16時間に。
・3交代制
日勤(およそ8時半~16時半頃)と、準夜勤(およそ16時前後~0時半頃)と、深夜勤(およそ0時~翌朝8時半頃)に分かれます。
入院部門のある378の医療機関を対象に行われた、日本医療労働組合連合会による「2018年度 夜勤実態調査」では、3交代のみが47.6%、2交代のみが18.8%、2交代と3交代の混在が33.6%となっています。同調査で、2交代制の月平均夜勤日数は4.12回、3交代制の平均夜勤日数は7.62日というデータが出ています。
<2交代制・3交代制の勤務イメージ>
●2代制
1日目 日勤 8:30~17:00
2日目 夜勤 16:30~翌9:00
3日目 夜勤明け(9:00~) 休み
4日目 休み
●3交代制
1日目 深夜勤務0:00~翌8:30
2日目 準夜勤 16:00~翌0:30
3日目 日勤 8:30~16:30
4日目 休み
2交代制のメリット・デメリット
2交代制は多くの医療機関で適用されている夜勤形態。3交代制に比べると夜勤は長時間となる特徴があります。
・メリット
勤務時間が長い分、次の勤務までの間隔が空き、しっかりと疲労を回復できるところ。また、1回の勤務時間が長いので、1ヶ月あたりの夜勤回数自体は少なくなります(月4回程度)。夜勤明けとその翌日は休みになることが多いため、プライベートの時間も確保しやすいでしょう。
・デメリット
夜の拘束時間が長いために、体力面でも精神面でも負担が大きくなります。疲労が蓄積することで、ミスが増えることも。年齢を重ねるにつれ、身体的な辛さを感じる事もあるようです。
3交代制のメリット・デメリット
では、1回の勤務時間が8時間と短い3交代制には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
・メリット
1回の勤務時間が短く、心身ともに負担が軽いところ。たとえ忙しくても集中力をキープでき、仕事量もそこまで多くありません。
・デメリット
シフトの組み方によっては睡眠時間が十分に取れないこと、病院の行き来が多いこと、休みが少ないと感じることなどをデメリットとして捉える方も。そこで、2018年に日本看護協会は、3交代勤務の場合は夜勤を月8回におさめることと、前日の終業時刻と翌日の始業時刻に11時間以上の休息を確保する「勤務間インターバル」を取るという提言を発表しました。今後よりいっそう、このような動きが活発になることが望まれています。
夜が得意な方は「夜勤専従」という働き方も!
次にご紹介するのは、日勤や夜勤などのシフト制ではなく、夜勤だけに限定した「夜勤専従」という働き方。実は、夜勤専従として働く看護師は増えており、特に2交代制と3交代制の混合シフトの施設では急増しているのだとか。
参考:日本医労連「医療労働 2018年夜勤実態調査」
常勤(2交代・3交代制)の場合、夜勤が月4回ほどなのに対して、夜勤専従なら月10日前後が一般的です。
・メリット
夜勤だけに絞ることで生活リズムが整いやすい、短時間で効率よく稼げる
・デメリット
慣れないうちは昼夜逆転の生活によって自律神経が乱れやすくなる、勤務時間が長い
少し特殊な働き方に思えるかもしれませんが、夜勤専従勤務はニーズが高く、高給与も望めます。体質的に夜勤が合っている方なら、選択肢のひとつに加えてみてもいいのではないでしょうか。
夜勤は患者の生命と安全を守る重要なお仕事です
夜勤は体調管理を気づかう必要があり、慣れないうちは体力的にも精神的にも辛く感じることがあるかもしれません。ただし、夜勤手当がついて収入が増えたり、夜勤前や夜勤明けに時間が取りやすったりと大きなメリットもあります。夜勤を含めた看護師としての経験を積み、自分にあった働き方を見つけてみてはいかがでしょうか。