看護師が病院で当たり前に働く時代は終わりつつあるかもしれません。それは、在宅や地域医療へのシフト、看護師の働き方も多様化してきているからです。なかでも、企業で働く看護師…ではなく保健師。看護師の資格と一緒に保健師の資格も取ったけど、看護師ではなく保健師として企業で働くキャリアも最近では注目されています 。そこで、未経験からでも産業保健師として働けるのか、そもそも産業保健師とは何か、その仕事内容についてまとめてみました！
■企業で働く産業保健師とは
保健師の資格は、大学で保健師資格に必要な単位を取得すれば保健師国家試験の受験資格が得られます。さらに、保健師国家試験の受験資格には看護師国家試験に合格していることが条件としてあるため、多くの人は4年制大学を卒業し、看護師と保健師をダブル受験という方法を取るかもしれません。
そのなかで保健師の資格を取得した人が、企業で働くという意味で「産業保健師」と呼ばれています。
産業看護とは、事業者が労働者と協力して、産業保健の目的を自主的に達成できるように、事業者、労働者の双方に対して、看護の理念に基づいて、組織的に行う、個人・集団・組織への健康支援活動である。
引用元：http://sangyo-kango.org/wp/?page_id=23
産業保健師は簡単にいえば、企業で働く人の安全と健康管理を、看護師、保健師の視点からサポートするというものです。似た名前として産業看護師もありますが、産業看護師には治験業務や医療機器メーカーなどの企業で看護師の資格で働くものであり、産業保健師とは安全衛生などの保健業務をメインとしてわけて考えられています。
実際の現場では、保健師も看護師もあまり仕事内容に大差ないところもあるようですが、ここでは産業保健師についての話なので、間違えないでください。
■産業保健師の仕事内容
企業で働く保健師と一言でいっても、企業の形態や所属部署がどのような場所なのかによって業務内容は違ってきます。
まずは、デスクワークメインである企業の医務室や事務所での勤務の場合。
ー健康診断の準備ややりとり、保健指導、資料まとめ
社員の健康診断のお知らせや実際に社内で健康診断を行う際には事前準備や当日の手伝いなども行います。健康診断の結果や産業医からの指示が出たら、該当する社員へ面談にて保健指導。後日、今後 の保健指導や予防対策に役立てます。
ー産業医・産業保健師面談の調整、実施
ストレスや人間関係、仕事の悩みを抱えている社員に対し、業務に支障が出る前に定期的に見回りをします。必要であれば産業医面談の調整を行い、産業医と社員の間に入り、経過をみるのことも仕事のうちです。日々の業務としては、産業保健師が健康相談という形で、気軽に面談できる機会を作っています。
ー職場環境の安全確認、改善
労働基準法に違反していないか、各部署の労働時間や残業申請の有無、休憩時間が適切にとられているか、安全衛生面から職場環境に問題がないかチェックします。
他にも、フィールドワークメインの工場勤務などの場合には、怪我や体調不良を訴える社員もいるため、医務室のような形で怪我の手当、症状への対応が主です。なかには工場の規模が大きく工場内診療所（クリニック）があるところでは、産業医のもと内科や外科のクリニックのような診察の補助などの外来業務から労災健診に関する業務もあります。大きな企業の場合には、産業保健師が数人、または産業看護師が在籍しており、役割分担しているところもあります。
産業保健師の仕事内容は、企業の規模や業種などによって、違いがあることを知っておいてください。
■産業保健師は未経験でもなれるのか、必要な資格とは
産業保健師は保健師の資格を持っていれば誰でもなれるのか…というと、簡単ではありません。そもそも衛生管理者や産業保健師が必要なのは、最低でも50人以上の社員がいる事業所であり、 離職率も低いので求人数が圧倒的に少ないです。産業看護師の場合には、臨床経験〇年以上と条件があるところもあるようですが、産業保健師の場合には、臨床経験はあまり関係ありません。それよりも、産業保健の経験者とされているところが多いため、産業保健師未経験の場合にはかなり狭き門となる可能性が高いです。
産業保健師としてなるべく就職しやすくするためには、産業カウンセラーなどの資格もあります。
あらかじめ産業保健で働きたいと考えている場合には、早めに取得していると就職や転職に有利です。
参考：産業カウンセラー試験 一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
http://www.counselor.or.jp/examination/tabid/111/Default.aspx
看護師だけではなく、保健師の資格があれば産業保健師として働くキャリアもあります。今までの看護師経験があればそれを活かすこともでき、保健師未経験であっても働く道はあるため、今後キャリアの選択肢が広がっていくことでしょう！
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