疲労感を感じた時、むくみを解消したい時、マッサージへ行くという選択肢があります。しかし、マッサージ後に身体がだるい……という経験はありませんか? そこで今回は、マッサージに潜むデメリットや、注意したい点を解説していきましょう。
■マッサージはお好き?
看護師という多忙な仕事をこなすみなさんですから、疲れたときはやっぱりマッサージ! という方も多いのではないでしょうか? しかし、よく見かけるマッサージ店や、整骨院などで行われる「マッサージ」の多くは、医療行為ではありません。体調が良くないと感じる原因を診察・検査し、施術を行うわけではないので、ときには、やりすぎて、身体にデメリットを与えることもあるのです。
そのため、マッサージをすれば(してもらえれば)、いつも体調がよくなると考えていると、思わぬ体調不良を引き起こしてしまうケースも……!? 「マッサージ」を医療行為として行う資格(国家資格)は4つのみ。その他は無資格(民間資格)です。
有資格のマッサージ:柔道整復師、はり師、きゅう師、あんまマッサージ指圧師
無資格のマッサージ:●●療法、○○整体、アロマテラピー、エステティック、カイロプラクター、足ツボマッサージ、リンパマッサージ等
■マッサージ後は、身体の叫びに耳を澄まして!
しかし、国家資格か否かに問わず、マッサージが身体の不調に繋がる可能性は0と言えません。
では、マッサージ後の体調不良には、どんなものがあるのでしょう?
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・揉み返し
筋膜や筋線維に対して受けたマッサージが強すぎたために、炎症を起こし、痛みが生じる状態を「揉み返し」と言います。状態としては筋肉痛と同じような状態で、氷嚢や保冷剤、冷湿布などでアイシングするのが効果的です。
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・頭痛
ときには、頭痛や吐き気、めまいがすることもあります。こういった症状の原因は、マッサージにより血液・リンパ液などの流れが促されたものの、一緒に流れ出した老廃物が、うまく排出されないために起こります。
そのため、頭痛の解消にマッサージを……、と考えている場合は注意が必要です。血管が伸縮することで痛みが出てしまう片頭痛(偏頭痛)の場合、マッサージで血流を促してしまうと、痛みが悪化してしまう可能性もあるので注意しておきましょう。
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・身体のだるさ
マッサージ後に、身体がだるいといった経験はありませんか? これは、マッサージにより体の緊張がほぐされ、交感神経と副交感神経のバランスが調整されたことによる「好転反応」と考えられています。
普段のストレスや緊張は、交感神経が優位になることで抑えつけられ、自覚があまりありませんが、副交感神経が優位になると、リラックスするよう促され、溜まっていた疲労をストレートに感じ、身体がだるいように感じてしまうのです。
また〔独立行政法人 国民生活センター〕の調査結果によると、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に寄せられる手技による医療類似行為(国家資格を有するマッサージ)に関する被害相談は、例年少なくはないと言います。
なかには、医師による治療が必要となる、激痛、骨折という被害もあるようなので、マッサージ後の不調は決して我慢しないようにしましょう。
■不調が続くようなら、医療機関へ
せっかくマッサージに行くのですから、やりすぎて不調を訴えるなんてことは避けたいですよね。多くは、血流やリンパの流れを促すことによるものですので、通常2~3日以内には改善するケースが多いですが、長く体調不良が続く、生活に支障が出るほどの悪化を感じるといった場合には、早めに医療機関を受診してくださいね。
それでもマッサージが好きという場合には、「力を弱めてください」など、要望を出しながらマッサージしてもらうのも方法のひとつですよ。
この記事の監修者:山下 真理子