■不妊カウンセラーとは
「妊活」という言葉が定着しつつあるとはいえ、まだまだ「不妊治療」は他の人の理解を得にくく、相談しづらい一面がある治療法です。そんな悩めるご夫婦の相談相手として期待されているのが、「不妊カウンセラー」という資格。「妊活」に対する関心が高まるいま、看護師のキャリアアップとしても注目を集めています。
■不妊カウンセラーに期待が集まる理由
厚生労働省が平成25年度に発表したデータによると、 全国の不妊相談センターに寄せられた相談件数は、平成9年度が1,891件であるのに対し、平成24年度は21,452件と増加の一途を辿っています。そして、費用が高額、タイムリミットがあるなどの理由により、精神的に追い詰められるご夫婦も少なくありません。
そんな中、注目を集めているのが、特定非営利活動法人日本不妊カウンセリング学会(以下「日本不妊カウンセリング学会」と称する)による認定資格「不妊カウンセラー」です。
この資格は、不妊で悩むご夫婦を支援するために生まれました。妊娠、出産、不妊などに関する適切な情報提供をしたり、最適な不妊治療を選択できるようカウンセリングや研究を行ったりするのが主な役割となります。
■不妊カウンセラーになるために
不妊カウンセラーになるためには、なにから取り組めばよいのでしょう?
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受験資格
臨床経験の必要性は問われませんが、日本不妊カウンセリング学会の会員であることが受験条件です。また、不妊カウンセラー養成講座を3回以上受講する必要があります。
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認定までに必要なこと
- 【受験前】 養成講座
例年ですと、2回行われています。(直近の講座は、2018年6月2日(土)~3日(日)に開催予定)
- 認定試験
<主催元> 日本不妊カウンセリング学会
<試験開催> 12月に筆記試験開催。筆記試験が不合格の場合、3月まで2回受験可能
(※詳しい日程については、主催元にお問い合わせください)
<開催場所>東京・大阪・福岡・仙台
<受験料> 15,000円
<試験内容>筆記試験と面接試験があります。
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更新について
5年ごとに更新が必要です。
<更新手数料>6,000円になります。
これらの詳細は、日本不妊カウンセリング学会に入会することで、案内のメールを受け取ることができます。詳細は、日本不妊カウンセリング学会へお問い合わせください。
■不妊カウンセラー資格の特徴
次に、不妊カウンセラー資格の特徴を見ていきましょう。
・講義の内容は、正直“高度”であるため、ある程度、不妊看護の知識がなければ、理解が困難かもしれません。そのため、産婦人科や不妊専門のクリニックなどで勤務する看護師の場合は合格率が高い傾向にあります。
・産婦人科や不妊専門のクリニックなどで勤務する看護師のスキルアップに有益です。
また産婦人科や不妊専門のクリニックへの転職を希望している場合は、転職に有利だと言えるでしょう。
・不妊治療に関わる機会が少ない産科の看護師であっても「不妊」という観点からの知識を持つことは、その後の仕事においてプラスに作用するのではないでしょうか。
・需要が高まっているため、将来性がある資格とも言えるでしょう。
もちろん、深刻な問題を抱えているご夫婦の気持ちに寄り添うことは簡単なことではありません。しかし、それを乗り越えて出産に至ったときの喜びは、格別だと思います。
このほか、出産に至らなかった場合も、不妊カウンセラーのおかげで、十分な話し合いを行うことができ、夫婦の絆を深めることができたというケースも存在します。大変な仕事ではありますが、自分が「不妊カウンセラー」として関わることで、悩める人を幸せに導くことができるなら、仕事に強いやりがいを感じることができるのではないでしょうか。
筆者の友人にも不妊治療の経験者がおり「医師と不妊カウンセラーの両方から話を聞くことができ、より安心して不妊治療に取り組めた」と話していました。不妊カウンセラーとしての資格を持てば、今以上に、不妊治療中の患者さんに寄り添える存在になれるのではないでしょうか。
■おわりに
不妊カウンセラーは、深刻な悩みに寄り添い、支えることができる素晴らしい資格です。
不妊治療に取り組んでいる病院への転職が有利になるだけでなく、「やりがい」を感じることができる資格だと言えるでしょう。志の高い不妊カウンセラーが多く誕生することにより、不妊という悩みから救われるご夫婦が一組でも多く増えるといいですね。